RFC6238で定義されているワンタイムパスワードの仕組み

以下は、RFC 6238で定義されているワンタイムパスワード(OTP)の仕組みを説明したものです。

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RFC 6238: Time-Based One-Time Password (TOTP) の仕組み

RFC 6238は、Time-Based One-Time Password(TOTP)アルゴリズムを定義するためのインターネット標準です。TOTPは、セキュリティを向上させるために時間に基づいて動的に変化するOTPを生成するアルゴリズムであり、特に2要素認証(2FA)の実装に広く使用されます。

シークレットキーの生成

  1. サーバー側で一意のシークレットキーが生成される。
  2. 生成されたシークレットキーは、BASE32エンコーディングなどを使用してユーザーに提供される。
  3. ユーザーはシークレットキーを安全な方法で保管する。

クライアント側でのOTP生成

  1. 認証を行う際に、クライアント(ユーザー)はOTPを生成してサーバーに送信する。
  2. クライアントは以下の手順でOTPを生成する。

    1. カウンターの取得: クライアントは現在のUNIX時間を取得し、1970年1月1日からの経過秒数(UNIXタイムスタンプ)を求める。この値を「カウンター」とする。ただし、カウンターは時間に基づいて動的に変化するため、OTPも一定期間ごとに変わる。

    2. カウンターの変換: 取得したカウンターを時間間隔で割り、整数値を得る。通常は、TOTPでは時間間隔を30秒とするが、他の値も使用可能。

    3. HMAC-SHA-1アルゴリズムによるハッシュ化: クライアントはシークレットキーと変換されたカウンターを結合し、HMAC-SHA-1アルゴリズムを使ってハッシュ値を計算する。これにより、一意のOTPが生成される。

    4. ダイジェストの抽出: HMAC-SHA-1アルゴリズムによって計算されたハッシュ値から、動的な部分(例:下位4ビットなど)を取り出し、6桁などの一定の桁数のOTPを得る。

サーバー側でのOTP検証

  1. ユーザーが生成したOTPをサーバーに送信する。
  2. サーバーは同じシークレットキーを持ち、同様の手順でOTPを生成する。
  3. 生成されたOTPとクライアントから送信されたOTPを比較し、一致すれば認証を許可する。

TOTPのメリットは、一度の認証にしか使用されないため、不正アクセスのリスクが軽減される点である。また、OTPの生存期間が短いため、盗聴などの攻撃に対して高いセキュリティが確保される。さらに、ユーザーごとに一意のシークレットキーを使用することで、個別の認証情報が保護される。


このようにRFC 6238で定義されたTOTPは、セキュリティを向上させるための有用なワンタイムパスワードアルゴリズムです。

森の有識者による対談

たぬき: ねえ、最近RFC6238って言葉を聞いたことある?

きつね: そうだね、それってワンタイムパスワードの仕組みを定義している規格だよね。セキュリティの話かな?

うさぎ: ワンタイムパスワードって、一回限りの使い捨てパスワードのことだよね。それをどうやって管理しているのか気になるな。

たぬき: RFC6238では、時間と共有鍵を使ったアルゴリズムが使われてるんだ。だから、毎回異なるパスワードが生成されるんだよ。

きつね: ああ、それって TOTP(Time-based One-Time Password) ってやつだね。時間をベースにしているから、ユーザーとサーバーでクロックが合っている必要があるんだよね。

うさぎ: それで、共有鍵はサーバーとユーザーで共有している秘密の情報ってことか。なるほど。

たぬき: そうそう、そしてサーバーとクライアント(ユーザーのデバイス)で同じアルゴリズムと鍵を使って、定期的にワンタイムパスワードを生成しているんだ。

きつね: それってセキュリティの向上に寄与するよね。ハッカーがパスワードを盗んでも、次の瞬間には使えなくなるから。

うさぎ: でも、クロックのずれや共有鍵の漏洩には気をつけないといけないんだね。それともう一度生成されたパスワードを受け入れる仕組みが必要かも。

たぬき: うん、それに関する取り決めもRFC6238でちゃんと定義されてるから、実装するときにはその辺りも考慮する必要があるね。